オスは本当に必要か?

.22 2018 読書 comment(0) trackback(0)
昆虫や動物のオスは、交尾できないまま、
その一生を終えるほうが圧倒的に多いそうです。
サル山やトドのハーレムを見てもそれはすぐわかります。
若くて強いオスがハーレムを作って大勢のメスを従え、
それ以外のオスは周囲をおろおろ歩いて、
隙あらば、やろうと狙っているだけです。
昆虫ではメスに出会えないまま死んでしまうものが多いらしい。
極東の島国の人間社会でも同じ現象が起こっているようです。

初期の生物は無性生殖をしたはずなので、
有性生殖はその後に発明された戦略なのです。
メスがメスを産み続けていれば、オスは必要ないのです。
オスがいるために命をつなぐのに余分なコストがかかります。
クジャクは不必要に大きく美しい羽根を用意しなくてはならず、
植物は花を咲かせて、昆虫に花粉を運んでもらわなくてはなりません。

オスは本当に必要なのでしょうか?

春にオスの蝶がメスのまとわりついています。
あれを微笑ましいとみる方もおられましょうが、
そのメスはすでに他のオスと交尾していて、
メスにとっては迷惑な行為でしかないのだそうです。
あの行為は進化学の専門用語で、
セクシャル・ハラスメントと呼ぶのだそうです。
(納得!)

「すごい進化」 鈴木紀之著 (中公新書2017/04) を読みました。
サブタイトルが “「一見すると不合理」の謎を解く” です。
IMG_8708 (480x360)


雪平夏見は無駄に美しい。

クジャクのオスも無駄に美しい。

この本の中で Peacock Spider (孔雀蜘蛛)という
実に美しい蜘蛛がいることをしりました。
その求愛ダンスが素晴らしいので、紹介しておきます。
このくらいオスは努力しないとメスに相手にされないのです。



スポンサーサイト

さなとりょう

.09 2018 読書 comment(0) trackback(0)
図書館から、
「ご予約の本が到着しましたので受け取りに来てください」
というメールが入ってきた。
「さなとりょう」。
IMG_8592 (480x360)
いつ予約をかけたか覚えていないほどで、
その時予約待ち順が100番を超えていたような記憶があるが
ほったらかしで、全く忘れていた。
おそらく新聞の書評かなにかで面白そうだと思ったのだろう。

明治6年(1873年)秋、
北辰一刀流千葉道場で鬼小町といわれた「さな」のところへ
坂本龍馬の妻「りょう」と名乗る女が訪ねてきたことから
この物語は始まる。
「さな」はもと龍馬の許嫁だったことになっており、
もと嫁の「りょう」とはお互いやきもちと不信感をいだきながらも、
ふたりで協力しながら、龍馬暗殺事件の黒幕を探してゆく。

なるほど、こうきたか。
歴史小説の体裁をとったミステリーで、
しかもチャンバラ満載ときた。
「りょう」の武器は当時珍しいアメリカ製のピストル、
「さな」はもちろん剣である。

新しいタイプの時代小説だ。




「日本の近代とは何であったか」

.02 2018 読書 comment(2) trackback(0)
「日本の近代とは何であったか」 三谷太一郎 (岩波新書) 2017年3月発行。
日本の近代とは (480x402)

義母の葬儀の合間と帰りの新幹線のなかでこれを読了しました。
久々にいい本を読んだ気がします。
日本の近代化を簡潔に新書版にまとめてくれています。
特に、「第四章 日本の近代にとって天皇制とは何であったか」が、
今までもやもやっとしていたものを明快に解き明かしてくれました。

憲法起草者の伊藤博文にとって最大の問題は、
ヨーロッパにおいてキリスト教が果たしている
「国家の機軸」としての機能をもつものが
日本には存在しないことでした。
わが国では宗教なるものの力が微弱でした。
思い悩んだ末、彼は
「わが国にあって機軸とすべきは独り皇室あるのみ」
と結論を下したのです。
キリスト教の機能的等価物としての天皇制の誕生です。
神の不在が天皇の神格化をもたらしたのです。

しかし、一般国民に対して圧倒的影響力を持ったのは
憲法ではなく、教育勅語でした。
「国体」観念は憲法ではなく、勅語によって培養され、
天皇の神格性を高めたのは教育勅語だったのです。
天皇・皇后の「御真影」が小学校に普及したのも教育勅語のおかげです。
教育勅語を起草した井上毅は宗教的哲学的な基礎づけを排除することに腐心し、
道徳の本源を「皇祖皇宗」に求めました。そして政治性を排除するため、
国務大臣の副署を外したので、結果的に立憲君主制の原則によって拘束されない
絶対的規範として定着することになったのです。


本書の構成は以下のようになっています。
序章 日本がモデルとしたヨーロッパ近代とは何であったか
    「慣習の支配」から「議論による統治」へ
第一章 なぜ日本に政党政治が成立したのか
    幕藩体制下でも合議制による権力抑制均衡メカニズム
    藩閥から政党へ
第二章 なぜ日本に資本主義が形成されたのか
第三章 日本はなぜ、いかにして植民地帝国になったのか
第四章 日本の近代にとって天皇制とは何であったか
第五章 近代の歩みから考える日本の将来

お勧めの一冊でした。

泣き虫弱虫諸葛孔明を読了!

.17 2018 読書 comment(0) trackback(0)
ああ、しんど!
「泣き虫弱虫諸葛孔明」5巻、2582ページを読了しました。
やはりこれを一気に読み通すのはしんどい。
一冊ずつ借りてきてちんたら読むのがいいですね。

それにしても、中国人はよく泣きますね。
「男泣き」ということばがあるけれど、
あれはめったに泣かない男が
激情に突き動かされて泣くことだと思っていましたが、
この本に出てくる男はとにかくみんなよく泣きます。
中国の葬式では泣き女を雇うと聞きますが、
かの国では泣くことは美徳なのでしょうか。
しかし、習近平が泣いたという話は聞きませんから、
昔は感情表現がすなおだったのでしょう。

一番よく泣くのが、劉備玄徳です。
相手を持ち上げ、へりくだり、感涙にむせぶ。
これで相手はころりと参ってしまう、人たらしの天才ですな。
民衆も騙される。
劉備軍団が曹操軍に追われて荊州から逃げるときに
十万余の民衆が一緒について逃げたという
信じられない話があります(長坂坡(ちょうはんは)の戦い)。

孔明もよく泣きます。
この本のタイトルに「泣き虫」とあるのはそのためでしょう。
呉の孫権も泣きます。
孔明が北伐に出るに際してつくった「出師(すいし)の表」を
のちに入手して読んで、孫権は大泣きしたそうです。

とにかくこの本に出てくる男たちは、
戦って大酒を飲んで泣いて、それだけが生きがいのようです。

この本のなかで、呉の国の人間は、みな、なぜか広島弁をしゃべります。
私の故郷の石見弁は広島弁と非常によく似ているので、
親しみを感じますが、なぜ広島弁なのでしょうか。
一つには、劉備と関羽・張飛の関係が任侠やくざの親分子分
義兄弟の関係によく似ているということで、
仁義なき戦いの広島弁を持ってきたのでしょうかね。
それなら、劉備グループに広島弁をしゃべらせ、
それより南の国にいる呉のグループには北九州弁を
しゃべらせたらよかったのにと思うのです。
作者の酒見(さけみ)賢一は久留米の出身ですからね。
北九州もやくざの強いところですから。

三国志は小学校の時に学校の図書館で借りた
子供向けの本しかよんだことがありませんでした。
またNHKの人形劇で見た記憶があります。
しかし、その本やドラマの中ででてきたからでしょうか、
「劉備が三顧の礼で孔明を迎えた話」
「赤壁の戦いで矢を十万本せしめる話」
「関羽が碁を打ちながら腕の矢傷の手術をした話」
「孔明、泣いて馬謖(ばしょく)を斬る話」
「死せる孔明が仲達を走らせる話」
などはあまりに有名で知っていました。

今回の読書で新たに知ったのは、
長坂坡(ちょうはんは)の戦いの張飛の活躍、
関羽の死にざま、張飛の死にざまでした。

そして、もっとも印象深かったのが、
「孔明、七擒七縦(しちきんしちしょう)をなす」でした。
雲南省を従えるにあたって、
南蛮人の親玉の孟獲(もうかく)を
七回捉えて七回逃がしてやったことです。
いかに、人心をてなづけるためとはいえ、
なかなかできることではありません。

この本で一番不満に思ったことは、
地図がないことです。
各巻の最初に、ざっとした当時の中国の地図と
簡単な戦さ場の地図はついていますが、
これだけでは小説の筋書きは追えないのです。
小説に出てくる地名は地図にはほとんど載っていないのです。
できれば、各章のはじめに、その章の中で語られる
戦場の地図が欲しかったですね。
編集者も考えんかい!

本を読みながら私が参考にしたのは、
高校時代の世界史の地図。
三国時代地図 (774x800)

そして、帝国書院の「地図で訪ねる歴史の舞台」です。
IMG_8473 (800x533)

このなかに「赤壁の戦い」の地図、
IMG_8474 (800x533)

孔明の北伐の地図が載っていました。
IMG_8475 (800x533)

赤壁の現在の写真。
赤壁

ハンサムな周瑜、長坂坡の橋で魏の軍を睥睨する張飛。
周瑜・張飛 (800x784)

孔明が死んだ五丈原と仲達。
五丈原

蜀軍が撤退するとき焼いたと言われる桟道。
なるほどこれでは簡単に燃えますね。
しかし燃やしたら修復するのが大変だぞ。
蜀の桟道

とにもかくにも、読了したことに一安心。
明日返却に行きましょう。

泣き虫弱虫諸葛孔明

.07 2018 読書 comment(0) trackback(0)
失敗しました。
こんなに厚い本だとは思いもしなかったのです。
年末に図書館システムで5冊予約をかけたら、
ご用意できましたので取りに来てくださいというメールがきました。
IMG_8334 (800x449)

酒見賢一の「泣き虫弱虫諸葛孔明」5巻です。
一巻の平均が516頁もあります。
お値段も高くて5冊で10,913円(税込み)、1冊2000円超です。
これを2週間で読まなくてはと思ったら気が遠くなってきました。
IMG_8335 (800x449)

著者は、吉川英治の国民的「三国志」も、
横山光輝の少国民的「三国志」(漫画)も
読んだことはないと言っています。
だからでしょうが、とにかく面白い。
いままでの忠烈義仁の男という諸葛孔明のイメージは
どこにもありません。

とにかく面白いといっても、まだ150頁読んだだけです。

今は孔明はまだ自ら「臥竜」と称して売り込みを図っているところで、
臥竜のイメージが世間に悪く受け取られたので、
「鳳雛(ほうすう)」(鳳凰の雛)という雅号に変えようと
画策しているところです。
そして、誰も嫁にもらおうとしなかった
ブスで有名な金持ちの娘と
結婚するところまでを読みました。

 HOME