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「殺人犯はそこにいる」 清水潔著

.16 2020 読書 comment(0) trackback(0)
久々に一日で一気に読了した本だ。
文章はうまいし、なによりも構成がいい。
このての本は嫌がる妻も一気に読了した。
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5人の少女が姿を消した。
群馬と栃木の県境、半径10キロという狭いエリアで。
同一犯による連続事件ではないのか?
なぜ「足利事件」だけが“解決済み”なのか?
執念の取材は前代未聞の「冤罪事件」と野放しの「真犯人」、
そして司法の闇を炙り出す―。
新潮ドキュメント賞、日本推理作家協会賞受賞。
日本中に衝撃を与え、「調査報道のバイブル」と絶賛された事件ノンフィクション。
殺人犯はそこにいる
上の地図のように、5件の事件は狭いエリアにありながら、
3件が栃木県、2件が群馬県だ。
日本の縦割り行政では隣同士の県警は仲が悪いと決まっている。
その中の一つ、4番目の事件が、あの「足利事件」である。

一連の事件を同一犯による連続事件だと喝破した著者は、
「足利事件」冤罪の可能性を報じて
菅家利和さんを釈放へ導くとともに、
徹底した取材によって、ついに「真犯人」を炙り出した!
そこで分かったのは、導入されたばかりのDNA型鑑定の闇、
杜撰な捜査とそして司法による隠蔽だった。

2008年の正月から日本テレビがゴールデンタイムで
キャンペーン特番を流し続けていたらしいが
私はあまりテレビを見ないので、この事件のことは
よく知らなかった。
今頃になってようやくこの事件のことを知ったというのが恥ずかしい。

憲法第38条「不利益な供述の強要禁止、自白の証拠能力」
何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
②強制、拷問若しくは脅迫による自白
又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、
これを証拠とすることができない。
③何人も、事故に不利益な唯一の証拠が
本人の自白である場合には、
有罪とされ、又は刑罰を科せられない。


これは刑事訴訟法ではない、憲法だ。
日本で最高の法規にこう書いてあることを
警察官は本当に知っているのか、いつも疑問に思う。


そして上の本を読んで、すぐさま図書館に予約をかけたのが
著者を一躍有名にした(知らなかったのは私だけ)
桶川ストーカー殺人事件―遺言 清水潔著(新潮文庫)である。
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ひとりの週刊誌記者が、殺人犯を捜し当て、警察の腐敗を暴いた…。
埼玉県の桶川駅前で白昼起こった女子大生猪野詩織さん殺害事件。
彼女の悲痛な「遺言」は、迷宮入りが囁かれる中、
警察とマスコミにより歪められるかに見えた。
だがその遺言を信じ、執念の取材を続けた記者が辿り着いた
意外な事件の深層、警察の闇とは。
「記者の教科書」と絶賛された、事件ノンフィクションの金字塔!
日本ジャーナリスト会議(JCJ)大賞受賞作。

1999年10月26日白昼、
埼玉県のJR桶川駅前で21歳の女子大生猪野詩織さんが何者かに刺殺された。
執拗なストーカー行為(父親の会社などへ数百通の嫌がらせ手紙、
自宅周辺のビラ貼り・街宣車での放送・押しかけ脅迫などなど)を受け、
それを警察に訴えていたにもかかわらず起こった悲劇だった。
捜査は難航、迷宮入りかともいわれたが、
ひとりの雑誌記者が警察に先んじて犯人を特定、犯人逮捕へと導いた。
その後、この記者による記事から埼玉県警の不祥事が発覚。
全国的な警察批判が高まった。

これも一気に読了。
お勧めの2冊である。
横浜市立図書館予約順位1位で
簡単に入手できる。

(追伸)
「殺人犯はそこにいる」という本の存在を知ったのは
「Black Box」という本の中で言及があったからである。
black box
著者伊藤詩織(本の表紙の人物)が
元TBSワシントン支局長の山口敬之に
強姦されて警察に訴えたものの、
山口が安倍首相と親しいことを忖度した警察官僚が
逮捕状を取り消させ不起訴とした事件である。
結局、民事で争い賠償金を勝ち取ったというものだ。
この著者が清水潔に相談していたのである。
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七は「ひち」である

.04 2020 読書 comment(0) trackback(0)
「京都ぎらい」の著者井上章一は、
この本のあとがきで次のように書いている。
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「そもそも七に「しち」という読み方がありうると、
私はながらく思ってこなかった。
ようやく四十歳代をむかえてからなのである。
現行の国語、中央政府のきめる日本語が、
七を「しち」にしていると、知ったのは。
 (中略) ああ、私の信じる「ひち」は、
国家権力の手先により弾圧されたのだ」

京都市の嵯峨野に生まれ
京都大学に学び、宇治に住んでいる著者
井上章一は京都府から出たことがなかったため、
41歳の時に本を出版するにあたって
朝日新聞出版局から初めてこのことを知らしめられて、
抵抗したものの押し切られたのである。

私、豊栄のぼるも島根県の石見地方で育ち、
18の年に東京に出るまで七は「ひち」だと信じていた。
東京で「しち」に出会い、
以後やむなく「しち」と言わねばならない場合は、
発音しにくいので「なな」ということにしている。
田舎者とさげすまされることを恐れたのだ。

今ネットで調べてみると、
静岡県から西は「ひち」と発音しているようだ。
島根の石見地方の友人にもラインで聞いてみた所、
だいたいは「ひち」と発音しているが、
子供や孫の中には「しち」と発音するものもいるようだ。
学校教育とNHKのせいだろう。
しかし小学校で九九を覚える時に
七の段の発音はどうしているのだろうか。
「しちしちしじゅうく」なんてとても発音できるものではない。
「ひちひちしじゅうく」のほうがはるかに楽だと思うのだが。

著者は京都大学建築学科の学生時代、
綾小路新町の杉本家住宅の九代目当主、
故杉本秀太郎氏にインタビューした時、
「君、どこの子や」とたずねられ、
「嵯峨からきました。釈迦堂と二尊院の、ちょうどあいだあたりです」と答えると
「昔、あのあたりにいるお百姓さんが、うちへよう肥(こえ)をくみにきてくれたんや」
と言われたという。
この時の屈辱感が著者に「京都ぎらい」というこの本を書かせたようである。
2020-01-04 (1)

京都の洛中に住む人間は洛外に住む人間を徹底的に見下しているという。
私は修学旅行で天龍寺に行き、
渡月橋から嵐山を眺めてこれが京都だと思ったものだが、
洛中の住人は、嵯峨は京都ではないというのだ。
宇治などに住んでいるとなおさら京都の人間だとは思ってもくれないらしい。
京都も中華思想の持ち主なのだ。
中国に近い韓国が遠い日本をさげすむのと同じである。

京都以外に住んでいる人にお勧めの本である。

こども六法

.24 2019 読書 comment(0) trackback(0)
実は今年のクリスマスのプレゼントには当初
「こども六法」を買って用意していた。
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ラジオで紹介していた時には
幼稚園児から中学生まで
読んでいるということだったのだが、
実際買って読んでみると、
全部の漢字にルビが振ってあるとはいえ
小学校二年生の孫にはとても無理だと思った。
本の好きな子なら読むかもしれないが
Youtube しか見ないうちの孫にはねー。

左側の漫画のページは読めても
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右の字だけのページは
いかに口語調に訳してあるとはいっても難しすぎる。
どこかの法律事務所の先生方が監修したらしいが
弁護士先生というのはやたら正確性を期する人がいるので
監修者が多いとどうしてもその人に引っ張られて硬くなってしまう。
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上の刑法の最初のページなんか
大人が読んでも素人にはちんぷんかんぷんだろう。

いじめを減らしたいという目的で書かれているから、
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漫画のページはとても分かりやすい。
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民法の漫画もいい。
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六法というと
憲法・刑法・刑事訴訟法・民法・民事訴訟法・商法
をいうが、
こども六法では商法を抜いて、かわりに
少年法といじめ防止対策推進法を入れている。

法学部以外の大学生でも、特に理科系の学生でも、
この本くらいは読んでおいてもいいのではないかと思える。

この本を紹介しているいい動画があったので紹介しておく。


でもせっかく買ったのだから、息子や嫁は嫌がるかもしれないが
孫の親にお年玉としてやることにしよう。

一夫一婦制が直立二足歩行を産んだ

.16 2019 読書 comment(0) trackback(0)
「進化論はいかに進化したか」更科功(2018年12月)を読んだ。
これによれば人類が直立二足歩行というおかしな進化を遂げたのは
人類が一夫一婦制の社会を700万年前に作ったからだというのだ。
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「地球上の生物は素晴らしい多様性を示し、40億年に及ぶ長い歴史を持っている。それなのに、完全な直立二足歩行が進化したのは、人類だけなのだ。空を飛ぶ能力を進化させるのはかなり難しいと考えられるが、昆虫と翼竜と鳥とコウモリという四つの系統で独立に、完全な飛行能力が4回も進化したのである。おそらく直立二足歩行をするのは、空を飛ぶのより簡単だろう。それなのに1回しか進化しなかった。なぜだろうか。」(220p)

直立二足歩行の利点
① 太陽光が当たる面積が少なくなる(サバンナ前提)
② 頭部が地面から離れるので涼しくなる(サバンナ前提)
③ 遠くが見渡せる(肉食獣を見つけられる)(サバンナ前提)
④ 大きな脳を下から支えられる
⑤ 両手があくので武器が使える(最古の石器は300万年前)
⑥ エネルギー効率がよい(マラソンができる)
⑦ 両手があくので食料が運べる

直立二足歩行の重大な欠点
走るのが遅いこと(肉食獣に食われてしまう)
走るのが遅いクマですらウサイン・ボルトより早く走れる。
この欠点は①~⑦の利点を上回ってしまう。

犬歯の縮小は直立二足歩行とならぶ人類の大きな特徴である。
犬歯はメスをめぐるオス同士の争いに必要だった。
犬歯の縮小は700万年前(まだ森にいるとき)からおきた。

約700万年前の人類は、一夫一婦的な社会を作るようになったので、オス同士の争いが減り、犬歯が小さくなったのではないだろうか。

一夫一婦制の社会ではペアになったメスが産んだ子はほぼ自分のこと考えてよい。
したがって、直立二足歩行によって食物を運ぶと自分が残せる子供の数がふえるという大きな利益がでてくる。
この利益は、足が遅くて肉食獣に食べられるという直立二足歩行の欠点を補える。

自分のメスや子供にせっせとエサを運んでいるうちに、
前足(手)は後足より短くなってゆき、
体が垂直に立ってきて脊髄は脳の真下に来るように
頭蓋骨が変化したのだ。


天を父、大地を母として 秋野亥左牟

.29 2019 読書 comment(0) trackback(0)
日曜美術館で画家秋野亥左牟の特集をやっていました。
その番組を見ながら横浜市立図書館のHPにアクセスした私は
3冊の絵本の予約を入れました。

「たこなんかじゃないよ」 秋野和子 文、秋野亥左牟 絵
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「たいようまで のぼった コンドル」 乾 千絵 文、秋野亥左牟 絵
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「神々の母に捧げる詩」金関寿夫 訳、秋野亥左牟 絵
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「神々の母に捧げる詩」の巻末で秋野和子は次のように書いています。

「人間も自然の一部として暮らしていた時を「人間の黄金期」と言い、
そこに戻りたがっていたイサムは.....

1976年二人はバンクーバーで出会う。
インドを1年二人で旅した後、
沖縄・八重山の周囲14kmの小さな小浜島にたどり着く。
その頃島はまだのどかで野性味溢れ、濃い緑と赤土の大地の空気は、
少し前までいたインドと同じくらい濃厚だった。
この地に大満足したイサムは船を手に入れると憧れの海人になり、
素潜りで魚やタコや貝を獲り、絵を描く日々が始まった.....」

人間こういう風に生きることができたら最高ですね。
しかもゴッホなどと違って生きているうちに絵が売れて、
さらに同志の配偶者がいて娘もいて。

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