垂れ歩の妙手

.05 2014 趣味 comment(0) trackback(0)
将棋界は竜王戦七番勝負の真っ最中で、
私も応援している糸谷哲郎七段(26歳)が森内俊之竜王(44歳)から2連勝して
いよいよ新旧交代かと騒がしい。

最近NHK杯の将棋で2局続けて解説のプロも気づかぬ
垂れ歩の妙手が出たので、今後の参考のために記録に残しておこう。

まずは羽生名人の羽生マジックから。
10月19日2回戦第11局、羽生善治名人と高橋道夫九段の対局である。
羽生の先番で横歩取りの戦型から、羽生の57手目。
2三歩と手裏剣が飛んだ。
解説の加藤一二三九段が例の甲高い声で
「あっ、これはいい手ですね、いい手です、私は気づきませんでしたが」
金で払えばとれるが、金が浮いて形が乱れるのだ。
結局放置されて、攻めの足がかりが王の近くに残ってしまった。
habu57 (480x317)
(57手目 : 2三歩)

それから22手経過した79手目、羽生は、
ついに残った歩の足がかりの先に角を打ち込んだのである。
王手金とり香とり。
habu79 (480x317)
(79手目 : 2二角)

羽生は香をとって馬をつくり、とった香を打ち込んで金に換えた。

そして95手目に王の退路を断たれて、高橋無念の投了(下の図)。
79手目と95手目の羽生陣を比較してみると、駒は全く動いていない。
この間、高橋は防戦一方で、攻めの手はわずかに3六に桂を打ち込んだだけで
一方的に殴られっぱなしだった。
羽生強し。
habu95 end (480x319)
(95手目 : 5三桂成り、投了図)


そして次の週、
10月26日2回戦第12局、三浦弘行九段と豊島将之七段の対局である。
これも横歩取りの戦型なのだが、
先手の三浦が15手目に1六歩と端歩をついて待ったために、
横歩取りではなく、横歩取られになった。
私はこの手は初めて見たのだが、理由はさっぱりわからない。
とにかく、ここで先手後手が入れ替わってしまったのだ。
toyoshima15 (480x316)
(15手目 : 1六歩)

三浦が端歩をとって9四香と走ったため、48手目、豊島は9六歩と垂らした。
解説の木村一基八段は
「これは良さそうな手ですね、香を走ったのが問題だったか」
銀でとろうと思えばとれるのだが、銀が離れてしまう。
toyoshima48 (480x318)
(48手目 : 9六歩)

角打ちの交換の後、結局垂らした歩を銀の横に成りこむことに成功した。
ここで形勢は逆転して、三浦は銀と桂をとられてしまう。
toyoshima54 (480x318)
(54手目 : 9七歩成り)


そして、9四の香をとられ、玉頭も制圧されたことから
三浦は戦意を喪失して68手の短手数で投了してしまった。
toyoshima68 (480x320)
(68手目 : 9四香、投了図)

2局とも、それまで互角だった局面が、
たった一歩を思いもかけないところに垂らされただけでガラッと変わった。
それだけ妙手だったということだ。
げに将棋は恐ろしい。

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