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浮気社会

.25 2010 フランスの生活 comment(4) trackback(0)
私がブルターニュに赴任して初めての給料支払いの時、
銀行振り込みの総額に人事課長と人事部長のサインがあるのを確認して、
私はサインをした。一応、先月との差額の説明もチェックした。

その時同時に3枚の小切手にもサインをしてくれという。
「これは何だ」

前任者から、引き継ぎを受けていなかったのだ。
もっとも何から何まで、細かいことまで引き継ぎはできはしないのだが。
私の部下の女性は、知っている風だったが、言いにくそうにしていた。
「じゃあ、人事課長を呼んで」
マダム人事課長はニコニコしてやってきた。
会議室へ行きましょうという。

会議室でマダムの話をじっくり聞いた。
まだフランス語の聞き取り能力は十分ではなかったからである。
要は、これは離婚して子供を引き取っている女性が、
元の旦那の給料を養育費として差し押さえている分の支払いだというのだ。
養育費を払わない男がいるので、給与の差し押さえは認められているという。
裁判所からの通知で会社は給与天引きで代わりに払ってやるのだ。
マダムは会議室の黒板に絵をかきながら説明してくれた。
「ダコー、ダコー、ジェ・ビヤン・コンプリ」(わかりました)

「ところでこれは誰なの?」
最初の小切手は、○○課長の分だという。
え、あの、お髭のおじさん。
日本人に分かりやすいフランス語を話そうとして、
フランス語が少しおかしいといういつもニコニコしている男だ。
「彼は離婚しているんだ? でも奥さんはいるんだろ」
「今の奥さんは二人目です。前の奥さんとの間にも子供がいるのです」
「あーそう。やるもんだね」

「じゃ、次のは」
「これは現場の○○職場長です」
ああ、あの真面目そうな奴。色男風でもないけどな。

「最後のは?」
「XX職場の○○さんです」
「どんな男だったっけ、ああ、あの背の高いやつか」

赴任早々にして、フランス人の恋愛行動の洗礼を受けましたね。

従業員700人の会社だったが、
半分以上は若い近郷の農家出身のマドモワゼルだった。
これでけっこう惚れたはれたの事件が起きるのである。

フランスではお見合いという制度がないので、
自力で相手を探さなくてはならない。
どこで探すか。
そんなにチャンスはないのである。
村のダンスパーティで知り合ったなどというのは、ましなほうだ。
結構職場結婚が多い。
当然と言えば当然である。
自分の秘書に手を出して結婚したというのはよくある話である。
私の会社は設立されてから6年目だったが、
職場結婚のカップルは相当いた。

ある時、総務課の来客受付・電話交換のお姉さんが産休に入って、
代わりに新しい女性がCDD(セー・デー・デー)Contrat dure determine
(コントラ・デュレ・デテルミネ)期限付き雇用で入社してきた。
このマドモアゼルが実に色っぽい。
目がびっくりするほど大きくて、ちぢれ毛の黒髪。
ハスキーヴォイスのしゃべり方、しぐさが実に色っぽい。
しかも、前の会社で社長秘書をやっていたとかで、
服装もバッチリ決めていたし、なにより言葉が非常に丁寧なのだ。

まだ卓上の固定電話しかない時代だったので、席を外しているときは、
交換から車内放送で呼び出しがかかった。

前の交換のお姉さんは、
「ムッシュー・トヨサカ、ムッシュー・トヨサカ、
ドワ・タプレー・オー・ストンダール」
(豊栄さん、交換台に電話のこと)という感じだったが、

新しい交換嬢は、
「ムッシュー・トヨサカ、ムッシュー・トヨサカ、
エ・プリエ・ド・アプレー・オー・ストンダール」
(豊栄さん、交換台にお電話いただきますようお願い申し上げます)
とハスキーヴォイスでやるのだ。

男ならだれでも、ヨロヨロと行きそうな声である。

すぐにアタックを開始する男どもが日本人独身駐在員を含めて大勢いた。
あまりに色っぽい女性を雇うのも会社としては問題がある。

いろいろ噂は聞こえてきたのだが、
彼女を口説き落としたのは何と、社内結婚しているエンジニアだった。
「ええー?、奥さんは隣の職場にいるじゃない。子供もいるって聞いたぞ」

日本の会社だと、社内不倫はご法度で首と決まっていたが、
フランスでは、会社がどうのこうのとは言えないのだ。
さすがに、色っぽい彼女は会社を辞めた。
エンジニアとその奥さんは離婚はしたが、どちらも会社で働いている。

また、ある時、最長老の50代の職場長が、親子ほども年の違う
若い現場の女の子に手を出して結婚した。
もちろん職場長は奥さんも子供もいたが離婚したのである。
このおじさん、毎朝新しい若い彼女と手をつないで、
(それも、腕を抱え込まんばかりのつなぎ方、わかりますね)
会社の駐車場の門を入ってくるのである。

私と同い年のフランス人ディレクターがいた。
例の会議室に閉じこもって仕事をするおじさんである。
彼が、部下の特定の女性にいつも成績査定でAをつけるのである。
しかもチャンスがあればプロモーションをかけようとする。
以前の学歴社会の記事で書いたように、
労働組合のコンヴァンシオン・コレクティフ(労働協約)によって
昇給システムが決まっているので、学歴のない人は簡単には昇給しない。
昇給するためには会社でプロモーションをかけて昇格させるしかないのだ。
彼女は職業高校を出ているだけで、BACも持っていない。
どうもおかしいぜと私たち日本人ディレクターは話していた。
出張の時に彼女を同行し、ホテルの部屋からハッフン・ハッフン
という声が聞こえてきたという噂もあったからである。
私が日本に帰任した後、彼は離婚して彼女と結婚したということを聞いた。
やはり年の差は20くらいあったはずである。

私なんぞは一人の女との関係を維持するだけで精一杯で、
とても新しい女とまた一からやり直すなんて、
そんなしんどいことをやる元気もないですな。
アーと言えばツーという関係を作りあげるのにどれだけ苦労したことか。

フランス人は元気で若い。
だから出生率が復活したのだと思う。
日本の著名な女性の動物行動学者が週刊文春の会談の中で言っていた。
フランスのような結婚形態が緩やかなほうが、出生率は上がるはずだと。

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セシリア
そういえば、フランス語の先生が、フランスの出生率の高さを自慢してましたっけ。国の制度が、子供を産み育てやすくなっているとも言ってました。学費も恐ろしく安いとか、電車賃も、子供が増えると安くなるとか。
ツーと言えばカーの関係は気楽で良いですねー
うちなぞ、夫は「あれをこーして」なんて言う事が多くて、最近は、それでも意思疎通が出来るようにもなり、確かに、今更1から別の関係を気づくなんて、無理です~^^;
もしかして、離婚という事の考え方が、日本人とフランス人とは違うのかもしれませんねぇ。
2010.08.25 09:10
豊栄のぼる
セシリアさん、
大学でも学費は無料ですからね。

日本のように離婚すると周りから変な目で見られるとか、
子供がいじめにあうというのがないのでしょうね。みんなそうだから。

でもフランスの男はいい女が出てくるとやる気むんむんですね。感心するほど。
2010.08.25 09:25
ココン
う~ん、フランス人はみんなスケベだと思われているそのフランス人の一人と結婚している私としては、微妙なコメントになりますが、
要するに、男女関係、夫婦関係に対する観念が日本とはぜんぜん違うということです。
それにしても、感心するくらいたくさんの不倫カップルに囲まれた職場でしたね。
2010.08.26 06:47
豊栄のぼる
ココンさん、
人間は自分の身の回りに起こったことを基準にして判断します。たとえそれが非常に珍しい一件だっとしてもです。一事が万事というのです。
私の会社は忙しい時は1000人を超えていましたから、その家族を含めると4000人ということになります。カルナックの人口が4444人ですから、町の出来事がすべて耳に入ってくるようなものです。
ブルターニュの田舎で私の身の回りでこれだけ起こっているのですから、フランスは大体こんなもんだと考えてもしょうがないでしょ。
何せ毎月3枚の小切手にサインし続けたわけですから。
要は結婚や同棲に関する考え方が違うんですよね。
2010.08.26 10:39

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