囲碁もついに人工知能の軍門に下る

.15 2016 趣味 comment(0) trackback(0)
新聞その他で大々的に取り上げられたので
いまさら記事にするのも遅すぎるが、
囲碁をこよなく愛する者として日記に残さずにはいられない。

今日、囲碁の試合で、グーグル・ディープマインドの人工知能と
韓国の元世界チャンピオン、イ・セドル9段の最終戦第5戦が終了し、
結局人間の1勝4敗で終わった。

1997年にIBMがチェスの世界王者のカスパロフを破った時でも、
チェスに比べて将棋と囲碁は手の選択肢が多すぎるから
あと20年は大丈夫と言われていたのだ。

しかし、コンピューターにすべての手の計算をさせるのではなく、
人間の過去の何万局という対局を覚え込ませ、
その中から勝率の良い手を選択させることによって計算の時間を省き、
かつ、コンピューター自身に学習させるという人工知能を組み込んで
2013年に日本の将棋界も敗った。

その時ですら、囲碁の盤面は19x19=361であり、
10の360乗の手数があるので、あと10年は大丈夫と
いわれていたのにである。

昨年10月に、グーグル・ディープマインドが開発した囲碁ソフト
AlphaGo に欧州チャンピオンのファン・フィー氏が5連敗したときも、
欧州チャンピオンといったって日中韓の下っ端にも勝てないからね
という感じだった。

しかし、やはりだった。
イ・セドルが3連敗した翌日の3月13日日曜日の読売新聞は
トップ記事でこれを取り上げ、補足記事を2つも付け加えている。

私は日本棋院のネット対局ソフト「幽玄の間」の有料会員なので
全試合をオンラインで観戦した。
その感想をここに残しておきたい。

まずは第1局目(白がコンピューター)
白22の帽子に黒が23とツケ、それに対して白24のノゾキから
頭をぶつけて切るのは、アマチュアがよくやる手で、
なんだ大したことないなと思っていたら、この接近戦を勝利してしまった。
Al01-01.jpg
アマチュアっぽい手でも勝てるんだと不思議な思い。

第2局目(今度は黒がコンピューター)。
白32のカカリに対してコスミツケて立たせて飛んだのも
ちょっと違和感を感じたのだが、
もっと驚いたのがそのあとの黒37のカタツキ。
右辺が皆地になってしまうよ!
こんな甘っちょろい手でいいのか???
Al02-02.jpg

でもそのあとで感心したのが、白80の打ち込みに対して、
外側の連絡を強化した黒81.
これには私も驚いたが、解説のプロ王銘琬9段も感心していた。
人間とは感覚が違うね。
Al02-03 (960x603)

2局目までの感想では、
とにかくアマチュアっぽく、ゆるい手を打っているのだが
なんとなく勝ってしまうという狐につままれたような感じだった。

第3局(白がコンピュータ)は、画面コピーを残しておいたはずなのに
コピーの格納先が行方不明で、Youtubeから画像を拝借した。
なんと、アメリカ向けの放送で、マイケル・レドモンド九段が解説していた。
マイケル、英語がうまいじゃん!(当たり前か)
Al03-01.jpg
ここで感心したのは、黒模様を消しに行った白が、
ひょこーんと二間飛び。
えー、そんなぼけーっとした手でいいの? 見たことないよ。

そして黒(人間)が二間の間を割きにつけて行ったのに、
白(コンピューター)は、ひょこっとその間をコスんで出たのである。
これはプロも今まで見たことのない新手だ。
そしてそのままここをうまく立ち回ってコンピューターの勝利。
Al03-02.jpg

このアルファ・ゴの3連勝で世界中が大騒ぎになったのである。
まさか、まさか、あのイ・セドルが負けるなんて誰も予想していなかったのだ。
日本の囲碁界で6冠王、今7冠目を制覇しようとしている
井山裕太9段でもイ・セドルには負け越しているのだ。

5局のうち3敗ですでに勝負は決して、
勝者の賞金百万ドルはグーグルのものになったのだが、
契約で5局打つことになっていたのでその4局目。
黒のコンピューターが圧倒的に有利と思われたその瞬間、
白1とイ・セドルが隙間に頭を突っ込むような妙手を発見して
初の勝利。
Al04-02.jpg

この時は、「コンピューターに人間が勝った!歴史的勝利だ」
とわけのわからんコメントが韓国から出て来た。
メンツを重んじる韓国人らしい。
イ・セドルもニコニコ顔でインタビューに応じていた。

そして、最終第5戦。白がコンピューター。
白16という図々しい手に当然人間は黒17と反発。
Al05-01 (958x960)

その結果の右下隅の分かれに、プロの解説者も
「自分が黒を持ったらウハウハの気分になっちゃいそうです」
と黒(人間)良しの判定。
Al05-02 (960x540)

でも、左下隅に白が先着してみると、これで互角というから
碁の奥は深い、というか、コンピューターの大局観がすごい。

そして、プロの解説者も思いつかないこいうところから、
中央を厚くしてくるんだよね、コンピューターは。
私の持っている囲碁ソフトもこういう手をよくやって来るのです。
Al05-06.jpg

そして第5局の決め手がこれ!
白模様をカタツキで消しに来た黒の上から帽子!
こういう手には感心してしまうよ、本当に。
Al05-07 (960x540)

結局第5戦は、最後まで勝敗の行方がわからなかった接戦だったが、
コンピューターはヨセもうまくて、結局2目か3目の差がついたところで
黒のイ・セドル(人間)が投了した。

5局を振り返って私なりに総括すると、
①鋭い手とか妙手とか石を取りかけに行くような手を打たずともよく、
普通の落ち着いた手を続けていればプロにも勝てる、
②常に相手の地とバランスをとるような大局観が必要
③どこから手を付けてよいかわからない時は、
中央が厚くなるような手を選ぶ
ということになろうか。

グーグルのディープマインドはスーパーコンピューターではなく、
1204個のCPUをつないだものらしいが、
もう人工知能には人間は勝てないことが証明されてしまった。

もうコンピューターを使って楽をすることだけ考えよう。

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