生物と無生物の間

.21 2016 読書 comment(0) trackback(0)
文章がいい。
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第1章のマンハッタンの描写など、
まるでディック・フランシスの小説の書き出しを
彷彿させるうまさである。
エピローグは、子供時代まだ開発中の
松戸市に住んでいた時の思い出を書いているが、
これだけで十分上質なエッセイになっている。

自然科学の難しい話は、
これぐらいは当然知っているだろうという前提で
筆者の独りよがりのわかりにくい硬い文章になってしまいがちだ。
そこで素人にも分かりやすく解説してくれる
「フェルマーの最終定理」や「ビッグバン宇宙論」を書いた
イギリスのサイモン・シンのような解説者が必要になる。
この本の著者福岡伸一は翻訳ではなく最初から
日本語で書いているから余計わかりやすいのである。

また、理論の解説ばかりでなく、
米国におけるポスト・ドクターの研究者が
年収2百万円台でこき使われる苦労話や
学会における論文やデータを盗用したしないの裏話
などが盛り込まれていて飽きさせない。

「生命とは代謝の持続的変化である」
(ルドルフ・シェーンハイマー)
生命とは何か?それは自己複製を行うシステムである。
ラセン状に絡み合った二本のDNA鎖は
互いに他を相補的に複製しあうことによって
自分のコピーを生み出す。
秩序は守られるために絶え間なく壊されなければならない。

結局著者は言う。
「生命とは動的平行(Dynamic equilibrium)にある流れである」
一見表面は変わらないように見えている人間でも、
その中の細胞は毎日新しいものに入れ替わっているのだ。


(存続できない会社は、中の人間が新しい人に置き換わっていないからだ)
これは私の感想。

なぜこんな本を図書館から借りて読んでいるかといえば
「20歳の20冊リスト」というのをある時みて、
ほとんど読んでいないことに気付き、
この年になって遅ればせながら
読んでみようかという気になったのである。

今まで読んだ本
「生物と無生物の間」福岡伸一
「世界の言語入門」黒田龍之介
「アメリカ 過去と現在の間」古谷旬
「蝉しぐれ」藤沢周平
「夜のピクニック」恩田陸
「人間臨終図鑑 Ⅰ」山田風太郎

今読んでいる本
「ジョゼフ・フーシェ」シュテファン・ツワイク
フランス革命の中で、裏切り変節し続けながら
生き延びた男の伝記

図書館で予約をかけている本
「穴」ルイス・サッカー
「雨鱒の川」川上健一
「ナイフ」重松清
「母恋旅烏」荻原浩
「わたしを離さないで」カズオ・イシグロ

残り
「1分間でわかる「菜根譚」」渡辺精一
「肩甲骨は翼の名残」ディヴィット・アーモンド
「しゃべれどもしゃべれども」佐藤多佳子
「12歳からの現代思想」岡本裕一朗
「スローター・ハウス5」カート・ヴォネガット
「やわらかな心をもつ」小澤征爾・広中平祐
「歴史とは何か」岡田英弘
「ペスト」カミユ

まだまだ時間はある。

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