宇宙創成 サイモン・シン

.29 2016 読書 comment(0) trackback(0)
やはりサイモン・シンは文章がうまい。
たんなる学説や理論の解説ではなく、
その陰にある人間ドラマを見せてくれるのがうまいのだ。
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2004年の小学生向けの調査で
① 地球は太陽のまわりを回っている
② 太陽は地球のまわりを回っている
という二つの文章から正しいものを選ばせたところ、
およそ4割の学童が②を選んだそうである。
現在の小学校の教科書では「日常経験を重視する」という立場から地上から観察した太陽、月、星の運動しか扱っていない。中学生になって初めて、地球が丸く、自転・公転(季節変化)、金星の満ち欠けを(月の満ち欠けは習わないまま)学習するのだとか。
では、なぜ習っていないのにもかかわらず、6割もの学童が、地球のほうが太陽のまわりを回っているのだと知っているのだろうか。

今や、小学生でも、テレビや親から教えられていつの間にか、地動説を知っており、
ビッグ・バンまで知っているらしい。
私もビッグ・バンのことは知っているつもりだったが、
改めてこの本を読んでみて謎が解けた。

読んだ内容をすぐ忘れてしまうので今後のために、要点を書き残しておこう。


紀元前3世紀に、リビアに生まれたエラトステネスは地球の直径、月や太陽の大きさとそれらまでの距離を測定していた。古代ギリシャ人は地球に引力があってすべて物が中心に引き付けられていることを知っていた。
アリスタルコスが太陽中心説を唱えたが、結局ギリシャの哲学者たちは天動説をとった。

その後キリスト教が勢力を持ち、バチカンがコペルニクスもガリレオも異端として裁いた(1633年)ことは誰でも知っている。

1670年代、木星衛星の観測により光の速度が有限であることが分かり、結局光の速度は秒速30万キロメートルであることが分かった。

1915年、アインシュタインは一般相対性理論を作り上げた。
1919年、水星軌道と皆既日食観測により光が太陽重力で曲がることが証明され、
アインシュタインはニュートンを凌駕した。
一般相対性理論によれば、重力による引っ張りのため宇宙はやがて収縮することになるが、アインシュタインはそれを嫌って宇宙定数なるものを設け、静的で永遠な宇宙観を唱えた。この間、フリードマンとルメートルは膨張する宇宙・動的な宇宙を描き出した。

分光器と写真と100インチ大口径望遠鏡が発明され、1923年ハッブルはアンドロメダ星雲が天の川銀河のはるか遠くにあることを観測した。1931年ハッブルはすべての銀河が天の川銀河から遠ざかり、宇宙は膨張していることのデータを発表した。
これにより、アインシュタインは宇宙定数が誤りだったことを認め、動的な宇宙・ビッグバンモデルを支持する側に回った。

1940年代、ガモフ、アルファー、ハーマンは計算の結果、陽子・中性子・電子からなる高密度のスープから、ビッグバン直後の高温の中で核融合により、現在の宇宙の90%が水素、9%がヘリウムという構成になることを証明した。しかし残りの1%の炭素・窒素・酸素・珪素・鉄がどうしてできるか分からなかった。
1948年この3人は、宇宙創造の30万年後に光が自由に進めるようになり、その光のこだま(宇宙マイクロ波背景放射=CMB放射)が今も検出できるはずだと予測した。

1940年代、ホイル、ゴールド、ボンディは、宇宙は膨張するが広がる空間に新しい物質が生成され、宇宙は進化するが何も変わらず永遠の昔から存在したと論じた。これを定常宇宙モデルと呼びビッグバン宇宙モデルの対抗勢力となった。

定常宇宙モデル派のホイルは、重い元素が年取った星の中心部で形成されることを示した
(結果的に、ビッグバン理論を助けた)。

ビッグバンという名前は、実は反対派のホイルが1950年のラジオ番組の中で相手の説を揶揄してこう呼んだことに由来しており、歴史の皮肉としかいいようがない。

1960年代半ば、ペンジアスとウィルソンは偶然CMB放射を発見した。これはビッグバン派に有利な証拠となり、宇宙論研究者の大半はビッグバン陣営に乗り換えた。

1992年人工衛星による調査で、CMB放射に微妙な「ゆらぎ」が発見され、
宇宙の密度が一定ではなく、銀河と何もない空間が分かれる原因が証明された。

小さな「ゆらぎ」が初期のインフレーションにより引き延ばされた。


こんなことが分かったところで、どうなるものでもない。
もうじき私は死ぬのだし、太陽もあと40億年すれば膨張して地球はその中に飲み込まれ、生物はみな溶けてしまうのだ。
五劫の擦り切れが来る前に!
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