この世界の片隅に

.13 2017 映画 comment(0) trackback(0)
「うちゃーいつもぼーっとしとるけん」
と主人公のすずは広島弁でいう。
この世界の片隅に20160112
"Kono sekai no katasumi ni " film dessin anime japonais 2016
声優の「のん」(能年玲奈)が
ぼーとした口調でしゃべるので
まさに当たり役だったと思う。
以前の記事でも書いているように
「仁義なき戦い」「東京家族」「マッサン」「とんび」
など、広島弁の出てくる映画だと
それだけで私はうれしくなってしまうのだ。

それにしてもなぜかくもこの映画は人気があるのか。
都内の映画館はいつも満員だというではないか。
今日は、学校が始まって学生さんがいなくなるのを待って、
満を持して、ららぽーと横浜の東宝シネマにやって来た。
妻がぜひこの映画を見たいというからである。
平日の木曜日の朝9時半なのに30人もの入場者があった。

19歳で広島から呉に嫁に来たすずは
優しい夫と舅姑に囲まれて幸せに暮らしている。
おりしも戦争で日々の食糧が貧しくなるなかでも
色んな野草を摘んできては料理を作っている。
ぼーっとしとるとはいっても、新婚初夜の夜明けには
かまどで飯炊きをしている。
とにかくこの映画は当時の世相や街の景色を
忠実に再現しようとしていた。
原爆が落ちる前の原爆ドームの建物は
絵が好きなすずのスケッチの中によみがえる。
「君の名は。」もそうだったが、
この映画もとにかく映像が美しい。
呉は大和や武蔵の母港でもあり、軍需施設の多いことから
強烈な空襲を受けたのだが、爆撃の様子ですら、
花火のようで絵の具があったら描きたいと
すずは不謹慎にも思ってしまうのだ。

時限爆弾で姪の少女と自らの右腕を吹き飛ばされながら
なおけなげに生きてゆく。
呉は毎日のように爆撃を受けているが、
広島市内はそれほどでもないということで
すずが実家に帰ろうかという話になったときに
私は心の中で「広島に行っちゃあいけん」と怒鳴っていた。

呉からも巨大なキノコ雲が見えた半年後、
広島の実家の様子を見に行ったすず夫婦が、
寄ってきた戦災孤児の女の子を呉に連れ帰った。
しらみのたかった女の子をふろに入れようと
大騒ぎしている家族を見て
じわーっと涙が浮かんでくるのを止めようがなかった。

なぜかくもこの映画は人気があるのか。
妻の意見は
「上から目線で戦争を描いていないからじゃないかしら」
という。
私も同意見だ。
正面切って大上段に反戦・反戦といっていないのがいいのだろう。
私の田舎の実家のすぐ近くに有福温泉があるが、
そこにあった原爆被爆者温泉療養所が2年前に閉鎖された。
利用者がいなくなったからだという。
戦争体験者や被爆者が少なくなっていく中で
こうした映画で戦争のことを語り継いでいくことが
ますます大切になってくる。

それにしても、日本のアニメはすごい。

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