サラセン帝国はもう存在しない

.14 2017 読書 comment(0) trackback(0)
私が課長になりたてのころ、部下の大卒新人(文系)に
「昔サラセン帝国というのがあっただろう?」
と聞いたときに、
その新人は
「いやー、聞いたことないですね。サラセンって何ですか?」
と逆に聞き返されてしまったことがあります。
その時に、私が高校で学んだ世界史と
今の若い人が習っている世界史は
どうも違うらしいということを知ったのです。

先日、新宿の紀伊国屋でたまたま、この本を見つけました。
「荒巻の新世界史の見取り図」(東進ブックス)です。
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予備校の先生?が書いた本なのですが、
ぱらぱらとめくってみると
私が勉強した高校の世界史の教科書とは全く違います。
戦争と項目の羅列を必死で暗記するのではなく、
背景や理由がわかるように書かれていて、
地図や説明図がふんだんに使われています。
しかも「ですます調」なのです。
私があまり勉強していない(受験範囲になかった)
現代史の部分(下巻)だけを買ってもよかったのですが
ついでに上巻と中巻も一緒に衝動的に買ってしまいました。

実に面白い。上中下を一気に読んでしまいましたよ。
今さらこの年になって大学受験をするわけではないので
項目を覚えようとしなくてもいいのですから
気楽に読めます。

世界史を流れで読むという観点からは
ウィリアム・H・マクニール「世界史」も面白かったのですが
IMG_8929 (480x269)
やはりこれは西洋人の観点から歴史を見ているので
納得できない部分も多々あります。

その点、荒巻先生は日本人ですし、
高校生の読む本ですからね。
分かりやすく書いてあります。


以下は、私の読書メモなので無視してください。
こうやって書いておかないとすぐ忘れてしまうので。

1.ゲルマン民族皆殺し(375年)はもうなくなっていた。
「民族」という言葉はとても難しい概念なので
昔は「ゲルマン民族」と言っていたのが
今では「ゲルマン人」と書く。

2.イスラームの章
①サラセンとはヨーロッパ人の蔑称なので今はこの言葉は使わない。
(だから、私の部下が知らなかったわけです)
「ブルターニュのそば」でサラセン粉(蕎麦粉)が20年前はあったのに。

②ローマ帝国とペルシアの係争地(シリア、イラク)
を避けて紅海ルートが栄えた→アラブ人の台頭

③イスラーム教徒とはいうが、イスラーム教とはいわない。
キリスト教、仏教、イスラーム、ヒンドゥー教

④「マホメット」も西洋人がそう呼んでいるだけで、今は「ムハンマド」
(ウィリアム・H・マクニール「世界史」ではマホメットといっている)

⑤イスラーム=アッラー(唯一神)に帰依すること

⑥ムスリム=イスラーム教徒

3.16世紀は銀で結ばれる世界。
①メキシコ銀、ペルー銀、日本銀が
絹・茶・陶磁器で銀の採れない中国に流れた。
その銀をアヘンで取り返そうとしたイギリス。

②自由貿易とは覇権国家の掲げる「正義」である
(19世紀のイギリス)

4.フランス
①フランス革命の「人権宣言」でいうところの
「人間」とはあくまで「財産を持つ者」であり、
無産者や女性は人間とはみなされなかった。

②フランスの女性参政権は非常に遅く1944年。
(日本は1945年)

③1793年ジャコバン憲法の封建的貢租の無償廃止により、
すべての土地を農民に分け与えた。
領主(貴族)は所有地を追われた。
(私は今でもフランスに貴族は生き残っていると
勘違いしていました)

④フランス革命とナポレオンが残したものはナショナリズム。
国民意識の形成では、
国王というシンボルに代わって、
国旗や愛国心、自由や平等、憲法や議会、独立という
シンボル操作が行われた。

⑤労働者の参政権の要求を「民主」と表現する。

5.アメリカ
①南北戦争前はUSA are ….戦後からUSA is ….に変わった。

②合衆国憲法修正第14条(1868年)は、
もともと奴隷制度廃止のために作られた条項だった。
州の法律で黒人の選挙権を認めないことについて、
連邦最高裁判所は1883年に合法と認め、
1896年には分離政策にも合憲判断を下す。

③黒人の参政権は1964年の公民権法
(ジョンソン大統領、民主党)の時。

④ラテンアメリカはCIAがコントロールした。
USAの方針は反共主義なら独裁者でも容認。

⑤1804年ハイチが独立、世界で初めての黒人共和国。

6.中国
中国では農民反乱で王朝が倒れるが、
ほかの歴史世界ではない。
なぜか中国でしか起こらない
非常に不思議な現象である。

6.南米のポプリスモ(人民主義)
社会の広範な支持を背景に
独裁政治をとりながら経済成長を進める。
社会主義に接近するかもしれない
労働者運動を敵対視することもない。

7.開発独裁(Authoritarian regimes)
独立後の経済発展のために
政治的安定を必要として生まれた体制で、
軍部主導もしくは軍部を味方につけている。
(イラン、ラテンアメリカ、韓国、台湾、東南アジア)

8.サンフランシスコ条約(1952年)
1949年の中華人民共和国の成立で、
焦ったアメリカには、日本の占領を早く終了させ、
日本とアジアを切り離す必要があった。

以上
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