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事務作業の合理化(その2)

.02 2010 仕事 comment(2) trackback(0)
70年代の会社の経理は、
大型コンピューターにいかに効率よくデータを送り込むかということに尽きた。
その当時、計算業務で一番時間がかかったのが、インプットとアウトプットである。
その間の演算時間はたかが知れていた(とはいっても一日は必要だったが)。

当時は経理課の中に電算係があり、冷暖房完備の部屋に大型コンピューターがあった。
夏などは一般の事務の居室が暑い時は電算係の部屋によくお邪魔していたものだ。
インプットは手書きの各種伝票をキーパンチャーが
データ一件につきカード一枚に穿孔機で穴をあける手間が必要だった。
キーパンチャーは職業病として腱鞘炎になるというので、
30分パンチしたら、30分休むという労働形態だった。
キーパンチャーは女性だけの2チームになっており、
30分パンチするとチームリーダーのお姉さんが
「さあ、皆さんお茶にしましょう」と言って休憩に入るのだ。
たまたまそういう時にお邪魔したりすると、私にもお茶をごちそうしてくれる。

パンチした大量のカードを今度は読み取り機にかける。
読み取り機は金属ブラシがついていて、ブラシの先がカードの穴を突き抜けて
導通して電気が通るとデータとして認識されるという仕組みだった。

プリンターも今から比べると、悠長なものだった。
当時はラインプリンターという方式で、
両端に穴のあいた紙のライン横幅いっぱいにデータがそろうと、
バシャと言う音とともに、ライン一行が一回で印字される。
当時の最新鋭の大型ラインプリンターでものぞき窓から、
いま何が印字されたか見えるくらいのスピードだったのである。

インプットのやり方はどんどん改善されていった。
伝票を光学読み取りのマークシートに置き換えたり、
部品や資材の取引にはバーコードの読み取り機が導入された。
また、各職場に端末が用意され、インプットの分散化が図られた。
いつの間にか、パンチカードはなくなり、
電話交換のお姉さん方がいつの間にかいなくなったのと同じで
キーパンチャーのお姉さん方もいなくなってしまった。
腱鞘炎と言う職業病はどこに行ってしまったのだろう。
それともキーボードのタッチが柔らかくなったのだろうか。
あの「お茶にしましょう」と言う休憩時間は亡くなったのだ。

インプットの端末に表計算ソフトが入って、オフコン(オフィスコンピューター)
と呼ばれるようになり、それがパソコンに変わるのにやはり10年を要した。
最初はアップルのマックのソフトが優勢だったが、
ウィンドウズ3.1が発売され、ウィンドウズ95に切り替わるころには
マイクロソフト一辺倒になってしまった。

90年代の半ばからパソコンが導入されて、オフィスの風景は一変した。
机の上は大きなブラウン管に占拠されて、書類を広げる場所はなくなってしまった。
また、プリンターの変遷も激しかった。
プリンターも最初はワイヤードット方式で、誰かがプリントを始めると
うるさくて仕事にならないほど騒音が激しかった。
キヤノンが安価なレーザービームプリンターを世に送り出してから
ようやくこの問題は解決され、静かなオフィスに戻った。


事務机の大きさが大きくなり、液晶の画面になって事務所はすっきりした。
各人にパソコンが行き渡って、事務作業も大きく変わってきた。

では、私が入社してそろばんで事務をやっていた時代から、
事務作業は軽減されたのか、楽になったのか?

少しも楽にはなっていない。

昔はデータをコンピューターに入れるのに大半の時間を費やし、
帳簿を締めるのに精いっぱいだった。
経営者はその結果を受け取ったら、ご苦労さんでお終いだった。

今の経営者はそれでは満足しない。
なぜそうなったのか分析せよと要求する。
パソコンのお陰でデータ加工が簡単になり、
いくらでも深く深く分析できるようになったからである。

また、せっかちなアメリカ人の影響で、
決算発表にスピードを要求されるようになった。
昔の日本企業は3月末締めの決算を6月末に発表すればよかったが、
今や一ヶ月以内に発表する企業が増えた。
そうしないと4半期決算に間に合わないからである。

会議のやり方もすっかり変わった。
昔は黒板に書き、皆必死でメモをとりしたものだが、
今はプロジェクターでパワーポイントの絵を写し、
配られたその絵のプリントの横に、ちょこちょこっとメモするだけになった。
議事録は後にメール添付で送ってくるので、メモすらとらなくてもいいかもしれない。
自然にこういう会議は居眠りする人が増える。
もっとも、会議中に居眠りするのは日本人だけで、
フランス人もオージーも居眠りはしない。

結局、今や事務作業と言うのは、一日パソコンに向かって、
メールの返事を書くか、ひたすら会議のプレゼンのお絵描きをやることになる。
このパワーポイントのお絵描きも凝りだしたらきりがなく、
ひとつのプレゼンの微修正に何日もかけて、
それが仕事だと思っている人がたくさんいますね。

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シッタレ
いつもコメント、ありがとう御座います。
貴Blogを何でか、見れておりませんでした。
誠に申し訳、御座いません。
さて、昔私も事務職をしていた時代がありました。
入社当時の計算機はイタリア製の「ブルースビガー」
だったと記憶しています。今考えると誠にのろい機械でしたが、算盤しか知らない当時は、ビックリしたものです。コンピュータが普及して、業務が楽になる事を皆期待していたはずが、仕事は増えるばかり。
機械の普及が、人間の幸せに貢献しているか、疑問ですね。
ただ、Blogのような、有意義な物も出来ました。
これで、豊栄さんとも知り合えていますモンね。
2010.12.03 22:05
豊栄のぼる
シッタレさん、
コメントありがとうございます。
確かに働いている人にはパソコンの進歩のおかげで仕事は増えるばかりですが、
私のような暇人にはブログやデジブック、ユーチューブ、ネット碁など
楽しみを与えてくれる良いツールになっていますね。
2010.12.04 08:03

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