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宿り木(2010-05-25再掲)

.25 2010 フランスの自然 comment(2) trackback(0)
この記事は2010-05-25の記事を再掲したものです。

昔の家庭教師のマダムクーニーが、冬至の記事を見て
「シトロンの写真のようだが何だ」と聞いてきたので
(彼女は日本語は分からず写真しか分からないので)、
「風邪をひかないためのおまじないです、
フランス人だってノエルから年末にかけてにヤドリギを飾るでしょ」
というようなメールのやり取りをしたので、
ちょうどノエルの季節になったこともあり、
タイミング的にこの時期にもう一回掲載しておいたほうがよいかなと考えました。



フランスでは、
冬になって木々の葉が落ちると目立つものがある。
20091215やどりぎ2
ヤドリギ (le Gui) である。

近寄って見る。
20091215ヤドリギ4

子供たち用に買った le Petit Larousse illustre 1992 によると、
(ラルース小百科事典絵入り1992年版)
le Petit Larousse S

「特定の木(ポプラ、リンゴの木、稀にオーク)にパラサイト(寄生)して
白い実をつける。実にはねばねばした物質を含む」
とあり、図が付いている。

寒々としたこずえの中で、緑のヤドリギだけがとりわけ目立つのだ。
日本では見られない壮観な景色である。
私が会員になっていたゴルフクラブの入り口のポプラ並木には、
全ての木にヤドリギが付いていて、それはそれは素晴らしい眺めであった。
夏よりも冬のほうが並木の存在感がある。

ノエルが近くなると、朝市でヒイラギとともにヤドリギが売られている。
20091221やどりぎマルシェ1

柊(ヒイラギ)とヤドリギ
20091221やどりぎマルシェ3

雪の中でも、青さを失うことはなく
20100114ヤドリギ01

冬を生き延び
20100324やどりぎ1

春を迎え
20100424やどりぎ1

そして、新緑とともに次の冬まで隠れてしまう。
20100504隠れヤドリギ


私だけがこの木をきにかけていたわけではなく、
古代人もこのヤドリギに不思議な力を感じていたようである。

以下は、
NHKラジオテキスト「まいにちフランス語」4・5・6月号の中で、
仏文学者奥本大三郎先生が書かれている連載エッセイ「落日のフランス文学」
の「宿り木Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」からの受け売り・抜粋である。

フランス人は新年に「オオギランヌフ」(新年おめでとう)
    と挨拶するそうである。(ただ、私はこの挨拶をされたことがない。)
    “ Au gui l’an neuf ” 直訳だと「ヤドリギの新年」???

    ラルース百科事典(上記写真の大人版)によれば、

    古代ローマのプリニウス著「博物誌」の中で、
    ガリアにおけるヤドリギの崇拝と題して次の記述がある。

    「ケルト人はヤドリギとこれが宿っているオークほど神聖なものはない
    と信じていた。陰暦の毎月六日に白い衣をまとったドルイド僧が、
   三日月形の黄金の鎌でオークのヤドリギを刈り取り、白い衣で受け止める。
   そのあとに、白い雄牛を生贄として捧げ、宴を開いた」となっている。


こうした話を奥本先
生は、なんと3ヶ月3回12ページにわたって
エッセイにまとめられている。

また、ネットで検索したところによると、
   イギリスやアメリカでは、クリスマスの季節に、
    飾りとして掛けたヤドリギの束( Kissing Ball)の下にいる若い女性は
    Kissされること拒否すると翌年は結婚のチャンスがないそうだ。
   恋人同士がMistletoe(ヤドリギ)の下でキスをすると結婚の約束を交わした
   ことになるらしい。また「幸福と長寿の予言」でもあるとのこと。

クリスマスはキリスト教の行事であるが、そこで飾るヤドリギは
実は古代の宗教が習俗として形を変えて生き残っていることの
証なのである。

(注)
ここに掲載したヤドリギの写真はすべて、現在パリに住んでいる
私の大学時代の同級生M氏が私の求めに応じて、去年から今年の半年間にわたって
撮影してくれたものです。著作権は全て彼に属し、彼の同意を得てこのブログに掲載しました。
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ナナシ
健気(?)でかわいい ですね。
2010.12.25 23:01
豊栄のぼる
ナナシさん、
そうですね、この写真だとそう見えますね。でも、並木道が全部これだと、ちょっと異様に見えますよ。生命力の強さを感じます。
2010.12.26 16:23

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