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戦艦大和ノ最期(理屈より情緒)

.25 2021 読書 comment(0) trackback(0)
戦艦大和の出撃は理屈より情緒によるものだった。
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2020年1月10日の読売新聞の記事で、
歴史学者加藤聖文さんは、
現在の新型コロナ感染拡大への対応が、
太平洋戦争末期における浮沈戦艦を取り巻く状況と
二重写しになると述べています。
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(写真をクリックすれば拡大し、記事が読めます)
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(記事の一部抜粋)
「日本は明治以降、急速な近代化を成し遂げましたが、
集団指導の下、さまざまな利害を調整しつつ
合意形成を図る政治風土は変わりませんでした。
その過程では理屈より情緒が優先され、
科学的合理的な判断基準は二の次、
内容は要領を欠いた総花的なものとなり
決断は遅く、責任の所在も明確ではない。
その集積が無謀な戦争へとつながったのです。」

加藤読書委員の勧めに従って図書館から
吉田満著「戦艦大和ノ最期」を借りて来ました。
全文カタカナ文でやや読みにくいですが
200ページほどの薄い文庫本なので一気に読めました。
著者は東京帝大の学徒出陣で少尉副電測士として大和に乗り込み、
3332人の乗組員のうち生き残った276人の一人で、
終戦後すぐにこれを書き上げました。

呉の伊藤整一司令長官は東京の豊田聯合艦隊司令長官の
「天号作戦」による大和出撃に対し、
①空軍掩護機の皆無
②海上勢力の劣勢(我軍十隻、敵軍六十隻)
③発信時期の遅延(米機動部隊避退の一日後)
の理由により、当初より強硬なる反対を表明していました。

大和のガンルーム(中尉少尉の居室)では議論が沸騰していました。

「プリンスオブウエールズ」ヲヤッツケテ、
航空機ノ威力ヲ天下ニ示シタモノハ誰ダ

(私の解釈による注)
太平洋戦争初戦のマレー沖海戦で、
英戦艦プリンスオブウエールズを航空機部隊で撃沈し、
日露戦争で東郷元帥がバルチック艦隊を破った大艦巨砲主義を
葬り去ったのは、まさに日本海軍だったのです。

ガンルームにおける激論を制したのは
海軍兵学校卒の職業軍人である21歳の臼淵磐大尉でした。

「進歩ノナイ者ハ決シテ勝タナイ 負ケテ目ザメルコトガ最上ノ道ダ
日本ハ進歩トイウコトヲ軽ンジ過ギタ 私的ナ潔癖ヤ徳義ニコダワッテ、
本当ノ進歩ヲ忘レテイタ 敗レテ目覚メル、ソレ以外ニドウシテ日本ガ
救ワレルカ 今目覚メズシテイツ救ワレルカ 俺タチハソノ先導ニナルノダ
日本ノ新生ニサキガケテ散ル マサニ本望ジャナイカ」
彼、臼淵大尉ノ持論ニシテ、マタ連日「ガンルーム」ニ沸騰セル
死生談義ノ一応ノ結論ナリ 敢エテコレニ反駁ヲ加エ得ルモノナシ

太平洋戦争の300万人超の戦死者のおかげで、
日本は身分制度を廃止でき、農地解放もされ、
婦人参政権も得て、ようやく民主主義の国になれたと
私は思っています。

死ぬまでにこの本が読めてよかった。

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