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昼休みに一杯

.26 2010 フランスの生活 comment(2) trackback(0)
この一杯が我慢できますか。

一杯のワインS

 ある時、名古屋の某有名自動車会社の親会社の会長さんが
ブルターニュのわが社を見学に来られるという名誉に浴したことがある。
この会社はレンヌの南100kmのナントのそばで
フランス企業とフォークリフトを生産する合弁企業を立ち上げたばかりだという。
この合弁企業を会長さんが視察においでになり、
参考のために先行企業である当社の見学に来られたのである。
わが社は、その当時、フランスに進出して成功している製造業ということで、
日本では成功事例として少しは名が売れていたらしいのだ。

工場の中を一通り見学していただいた後、
社長室でわが社のプレゼンと質問の場を設けた。
今のようにパソコンとプロジェクターを繋いだプレゼンではなく、
透明な紙にグラフや絵を印刷したものを映す
OHP(オーバーヘッドプロジェクター)によるプレゼンである。

わが社のプレゼンでは、ほとんど質問はなく、ふんふんであった。
プレゼンが終わった後の最初の質問。

「先ほど社員食堂を見学させてもらいましたが、
広くて、きれいで、眺めも良くて、素晴らしいと思いました」(某会長)

「ありがとうございます」(当社社長)

「ところで、御社では、昼食の時に、社員がワインを飲んでいますか?」(某会長)

「いいえ、当社では、社内では基本的にアルコールは禁止しています。
社内でワインが飲めるのは、9月の創立記念パーティと
12月のクリスマスパーティを食堂でやる時だけですね。
昼食時にワインなんかは出していませんが?」(当社社長)

「なんで、ワインは出していないのですか?」(某会長)

「いやー、?????。出しておりませんが???」(当社社長)

「ああ、そう。いや、ナントのわが社の工場では、
昼食の時に従業員がワインを飲んでいるのでね。
日本人の感覚からすると理解できないので、やめさせろ、と言ったのだが、
前からの習慣で、既得権のため組合を説得できませんと、
この人たちが言うのでね」(某社会長)と言って、お付きの人たちを見まわした。

「あー、そうですか。いやー、わが社は創立当初から、
作業効率と製品品質に問題が出るからということで、
社内のアルコールは禁止しております。
それで、フランス人も納得しておりまして、
そのことがとくに問題になったことはありませんが」(当社社長)

「なんだ、やりゃあできるんじゃないのか」と、
某会長は私たちにではなく、お付きの人々に聞こえるように言った。


これは、まさに日仏のカルチャーの衝突と言ってよい問題である。

パリにある同じ東京の親会社をもつ兄弟の販売会社に行った時、
打ち合わせの後日本人駐在員と一緒に昼食をとると、グラスワインを皆注文するのである。
私も嫌いではないし、後はTGVでレンヌに帰るだけだからと一杯注文する。
「いいのかね、昼間から飲んで?」
「いやー、いいんですよ。フランス人が飲んでいるのに、日本人が我慢することはないでしょう」
パリの販売会社は、もともとは現地のディーラーを買収して現法子会社にしたものであるため、
組合も強く、簡単に風習(既得権)は変えられないのだという。

そうか、わが社はブルターニュの原っぱの中に工場を作ったので束縛されるものはなく、
初めから日本流でやれたけれども、合弁や現地企業を買収した場合は
元からいるフランス人従業員や組合のいうことを聞かざるを得ないのか。


名古屋の某有名企業の会長さんの見学が終わったあと、
一同が会社の玄関のロータリーに見送りに出た。
一同礼をして、会長の乗った車が出発したとき、

私の前にいたお付きの人の肩が、フーと下がった。

お疲れさまでした。
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三十路オンナ
こんにちは!

フランスの社員食堂でお昼もワイン!
ワイン好きの私には嬉しいですが、
おもしろいですね!
また、勉強になりました!
2010.04.26 11:50
豊栄のぼる
三十路オンナさん、
日本で真似をしないように。前の大蔵大臣のように非難されますよ。
2010.04.26 19:27

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