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ヒトのオスは飼わないの? 

.17 2019 読書 comment(0) trackback(0)
米原万里はヒトのオスは飼わないまま56歳でこの世を去った。
しかしネコ6匹、ヒト2匹、イヌ1匹との生活を続けて、
この楽しいエッセイを残してくれた。
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私は中学生から高校生にかけて黒猫を一匹飼ったことがあるだけなので、
ペットが複数になると、飼い主の寵愛をめぐってペット間で競争が起き、
すねて家出をしたり、喧嘩をしたり結構な騒動が持ち上がることを初めて知った。
新しい猫を連れてきたときは、古い猫を2倍ハグハグしてやる必要があるのだとか。
旅行に出かける時に、施設に預けるとストレスが溜まって病気になるらしい。
私たち夫婦がペットを飼わないのは旅に出かけられないからだ。
猫好き、犬好きにお勧めの本である。

コーカサスの金色の雲

.17 2018 読書 comment(0) trackback(0)
1944年。500人の孤児がモスクワから
人影の消えたチェチェンの村に移送された。
食べることにすべての知恵をそそぐ孤児たち。
強制連行によって奪われた地の回復をかけて
ロシア人への攻撃を繰り返すチェチェン人パルチザン。
戦争のなかで真っ先に生きる望みを絶たれる
社会の除け者たちの姿を作家の少年院体験をもとに
記録した真実の物語。(横浜市立図書館の解説)

作者のプリスターフキンが自らの体験をもとに書き上げたこの作品は、
チェチェン民族の強制移住に触れているため発表を許されなかったが
地下でコピーが回し読みされていた。日の目を見た後は映画化もされている。
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生まれて初めて山というものを見た感動。
畑から盗んだ生のままの野菜を腹いっぱい食べて全員が下痢をする。
なぜか到着したコーカサスの村には誰も住んでいない
1944年人口の半分の25万人のチェチェン人がスターリンによって
カザフスタンへ強制移住させられたことなど、子供たちは知る由もない。

チェチェン紛争というと、たいていの解説は、
1991年のソ連解体とその後のチェチェン独立運動、ロシアの弾圧、
現在まで続くチェチェン人のテロという風にしか説明されないが、
それ以前18世紀からの古い古い怨念が続いているのだ。

何でこんな本を読んだかというと、
米原万里がその本のなかで紹介していたからである。
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中でも一番面白かったのが「魔女の1ダース」。
彼女の本には下ネタが多いいが、
どうもそれはロシアの小話に下ネタが多いせいらしい。

「マイナス50℃の世界」も捧腹絶倒。
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マイナス50℃の世界では、つららも雪合戦も存在しないのだ。
屋外にしかないトイレで女性がおしっこをするとどうなるか。

これらの本を読んで一番記憶に残ったことは、
どうもロシアのトイレは非常に汚いらしいということだ。
いつかは行って見たいと思っているサンクト・ペテルブルグの
エルミタージュ美術館のトイレも汚いらしい。


嘘つきアーニャの真っ赤な真実

.06 2018 読書 comment(0) trackback(0)
なぜこの本を予約したのかまったく記憶がない。
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最近こういうことが多い。
「ご予約の本が到着しました」という図書館からのメールを
受けとって初めて自分がこの本を予約したことを知るのだ。

それはともかく、実に面白く一気に読んでしまった。
文庫本301ページと厚さも手ごろだ。

図書館のサイトの解説文をコピーすると
「1960年、プラハ。
小学生のマリはソビエト学校で個性的な友だちに囲まれていた。
男の見極め方を教えてくれるギリシア人のリッツァ。
嘘つきでもみなに愛されているルーマニア人のアーニャ。
クラス1の優等生、ユーゴスラビア人のヤスミンカ。
それから三十年、
激動の東欧で音信が途絶えた三人を捜し当てたマリは、
少女時代には知り得なかった真実に出会う!
大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。」
となっている。

この本の著者の米原万里(1950-2006)をこの本で初めて知った。
私より2学年年下でほぼ同じ時代を生きているが、
生きてきた世界が全く違う。
1960年から64年まで、9歳から14歳まで
(日本式に言えば小学校3年生から中学校2年生まで)、
主人公のマリ(著者本人)は当時のチェコスロバキアの
「在プラハ・ソビエト学校」に通っていたのである。
この間ロシア語だけで生きてきた彼女は、
日本に帰国して外語大に入り、その後、
ロシア語の同時通訳として、多忙を極めた。

2002年に大宅壮一ノンフィクション賞を受賞しているように
この物語はノンフィクションなのである。
しかし、生き生きとした会話、描写は
小説以上に読者をぐいぐいと引っ張ってゆく。
1968年のプラハの春、1989年のベルリンの壁崩壊の後の
東欧のビロード革命、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦争という
激動の時代を生き抜いた3人の級友に再会するという
彼女でしかできなかった物語だ。
春江一也の「プラハの春」「ベルリンの秋」はフィクションだが
こちらは実話なのである。

残念ながら彼女は56歳という若さでこの世を去ってしまったが、
類まれなるエッセイストとしても有名だったようで
早速図書館サイトで彼女の代表作と言われる
5冊に予約を入れた。
予約順位1位なのですぐに手に入るだろう。


スラムの惑星

.05 2018 読書 comment(0) trackback(0)
「スラムの惑星」マイク・デイヴィス著(2010年5月)。
カバー写真はサンパウロ(ブラジル)のスラム街。
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地球上の7人に1人、10億の民がスラムの住人。
都市は貧困で爆発する。

都市の人口流入は増大する一方で、
都市貧困のグローバル化がますます進展している。
先進国では都市人口の6%、後進国では78%がスラムの住人だ。

国連の集計。
(国・・・都市人口におけるスラム居住者%・・・スラム人口)
中国        38%       194百万人
インド       56%      158
ブラジル      37%       52
ナイジェリア    79%       42
パキスタン     74%       36
バングラデシュ    85%       30


韓国        37%        14


タンザニア     92%       11
エチオピア     99%       10
スーダン      86%       10
ベトナム      47%        9

恥だとして正直なデータを報告しない国が多いので
これでも控えめな数字だという。

日本のスラム人口は残念ながらわからなかった。
大阪の愛隣地区、東京の山谷、横浜の寿町など
スラム街の住人は殆ど生活保護を受けているので
餓死することはないようだ。

地球はどうなってゆくのか。

犬と鬼 知られざる日本の肖像 アレックス・カー

.13 2018 読書 comment(0) trackback(0)
今の日本がいかに醜いか、
反論しようにもここに書いてあることが事実だから
反論のしようがない。
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図書館で何気なく手にした本だが、
考えさせる良い本なので一読をお勧めする。

この本は日本を愛する著者(アメリカ人)が、
敢えて日本の醜い部分を世界に知らしめようとして
英語で書いた本の日本語訳だ。
1996年に書き始めて2001年に英語版、
2002年に日本語訳が出版されている。
したがって、大蔵省のノーパンしゃぶしゃぶなど、
例示している事件はいささか古いが、
同じような汚職事件は今も起きていて
役人の体質はなんにも変わっていないので、
日本は醜いままだし、危機は依然として続いている。

1.建設中毒の日本
島根の田舎に帰っていつも悲しい思いをするのは、
山から流れ出る幅1mもないせせらぎがコンクリートで塗り固められ
U字の溝に変わっていることだ。これでは蛍も住みようがない。
また今でも必要かどうかもわからないダムがつくられつつある。
http://rennais.blog6.fc2.com/blog-entry-2450.html

海岸にテトラポッドを埋設すると、砂の流出が早まり
海岸の浸食がかえって激化することをこの本で始めって知った。

60年代から地方経済活性化のために
土木事業に補助金を出すという政策により、
農村山村に建設マネーが流れ込み、農業林業は衰退した。
村に流れ込む現金の9割以上が道路ダム建設で落ちる金で、
建設をやめれば村人のほとんどが職を失うため、
毎日コンクリートを流し続けねば村人は死んでしまうという
状況に陥ってしまった。
環境問題なんかはそっちのけである。

2.官僚に食い物にされている日本
特殊法人を作り、そこに補助金をおろし、あるいは仕事を発注して、
それをまた民間企業に丸投げしてサヤを稼がせる。
もちろんそこに天下りして退職金を稼ぐためである。

JAFの年間予算のうちロードサービスにかかる費用はわずか1割で
後は天下り官僚の人件費に消えている。

エアロビクスという流行がアメリカから入って来た時、
官僚は喜び勇んで新たな規制や行政指導を作って、
それを管理する協会や財団をつくった。
エアロビクスのインストラクターになるためには
5つの団体の6種類の認定料を払う必要があるのだ。
厚生省・文部省がつくった「財団法人健康体力づくり事業財団」、
「財団法人日本健康スポーツ連盟」、「社団法人日本エアロビックフィットネス協会」、
「財団法人日本体育協会」、「認可法人中央労働災害防止協会」に対してである。

こうして、日本の借金は増え続ける一方で、いつかは破綻するのだが、
その破綻を見届けるのは私たち団塊の世代ではない。

(注)
犬と鬼とは中国の古典「韓非子」に出てくる故事で、
皇帝が宮廷画家にこう問うた。
「描きやすいものは何であるか、また描きにくいものは何であるか」。
すると画家はこう答えた。
「犬は描きにくく、鬼は描きやすい」と。
つまり、私たちのすぐ身近にある、犬のようなおとなしく控えめな存在は、
正確にとらえることが難しい。しかし派手で大げさな想像物である鬼は、
誰にだって描けるものだ。

官僚は鬼であるモニュメントを日本のあちこちに作り続けている。


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